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フィンランド・デザイン
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Nanny さん。
大きな喪失感がなかなか消えず、文章にするのに随分時間がかかってしまいました。

フィンランドを代表するガラスデザイナー、ナニー・スティル・マッキネイ(Nanny Still Mackinney)さんが今月7日に逝去されました。82歳でした。

↓は、5月14日のヘルシンギンサノマット紙に載った記事です。
Nanny さん。_a0071240_1757365.jpg

新聞に載っているお写真の右端はこちらの記事にも登場したFlindariシリーズ。

彼女の名前を私が一番初めに聞いたのはアクセリから。アクセリはこちらのコレクター達の間でも名前を知られるNanny Still作品のコレクターなのです。

アクセリの家でミーティングをした日のことです。
部屋に入って一瞬で、飾ってあるNanny Stillの作品に目を奪われました。ガラスケースの中で照明を受けて輝く作品は宝石のようで、「美しい」という言葉以外思い浮かばないほど。発光しているように見えました。

この出会い以降、興味を持って調べるとNanny Stillの人生自体にすごく魅力を感じるようになりました。

Nanny Stillが1949年に卒業したのはヘルシンキ芸術デザイン大学の前身であるTaideteollisen oppilaitos。卒業後のコンペをきっかけにリーヒマキガラス工場(Riihimäen Lasi)にてキャリアをスタートさせます。1950年代といえば、「フィンランドのガラス」が世界中で認められた時代。この中でも最も著名なデザイナーとしてNanny Stillが出るほど、彼女の実力が花開きます。

私が憧れるのは、ここから先の彼女の人生です。

キャリア10年の1958年、彼女はアメリカ人Georg McKinneyと結婚し、翌年ベルギーへ移住します。そこからの人生はベルギーを舞台に巡っていきます。移住したばかりの頃はガラス文化がそれほど育っていないベルギーでキャリアを積むことに苦労したという説もあります。フィンランドからベルギーまでは遠い、と感じていたという説もあります。

Nannyの功績を眺めれば明らかですが、彼女はその後ベルギーでも実力を認められ、ヨーロッパ各国のパートナーにデザインを提供しています。

今と全く価値観が違ったであろう時代に、女性としてこれほど強く生きられる所に尊敬と憧れを抱きます。彼女の作品を眺めていると、ガラスの輝きの中にこうしたしなやかな強さが滲み出ている気がするんですよね。


今回のニュースを知った後、Nanny Stillを見送る気持ちを込めて、勝手にNanny Stillディナーを開催しました。

ガラス好きな友達を呼んで「作品持ってきてよ。Nannyのグラスでお酒を飲もう!」と。

私は残念ながら彼女のガラス作品は持っていないのですが、愛用している彼女の作品がひとつあります。Iittalaから販売されているPanny。
(追記:Pannyは2007年末にて生産終了しています。訂正し、お詫びいたします。記事を掲載後、ご指摘をいただきました。ありがとうございました。)
Nanny さん。_a0071240_17592672.jpg

これでハンバーグやお野菜を焼くと、すごく綺麗に焼けるので重宝しています。

ということでディナーのメニューはハンバーガーに。
Nanny さん。_a0071240_18008.jpg


食後に気づくとNannyのグラスが見当たりません。

ヨシコ  「グラスは?」
友    「持ってくる途中で割れたらショックで死んでしまうから持って来なかった。」


・・・。笑。
なんだか分かる気がするので、責められませんでした。

Nanny Stillがこの世からいなくなってしまったと思うとやっぱり寂しい気持ちになります。でも、作品を心から大切にする友人の姿を見ると「彼女の作品は生き続けるのだな・・」と実感しました。私のPannyもこの先ずっと愛用する予定ですしね。
by mysuomi | 2009-05-29 18:00 | デザイン
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