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フィンランド・デザイン
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マイスオミ株式会社
ヘルシンキを拠点に、
フィンランドのデザインや建 築・ライフスタイルに興味をお持ちの皆様へ日本語のガイドツアー、その他様々なサービスをご提供する会社です。
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悲しい話の続き。
皆様、モイ。
よしこです。

タイトルからして読みたくなくなるような今日のブログですが、苦笑、この記事の続きを書いておきたいのでやっぱり書きます。

読んでくださる方がいらっしゃると良いのですが・・。


↑の記事で、ケーキのまわりに置いてあったアイテムの生みの親はナニー・スティル(Nanny Still)。彼女はフィンランドを代表するガラスデザイナーです。(この記事でもご紹介しましたね。)そして、我らがマイスオミのアクセリ先輩は、彼女のアイテムのコレクターとしてヘルシンキでも名の通った人物なのです。(この記事この記事でも書いていますね。笑。)


以前、マイスオミのミーティングを彼の家で行った時には部屋中に飾られたアイテムに圧倒された記憶があります。ガラスの棚に綺麗に照明をセットして、中で輝くガラスのアイテム。

美しいものが美しく生活を彩っているアクセリ先輩のライフスタイルに憧れました。


で、先日のケーキ。
また同じお写真を載せますね。

悲しい話の続き。_a0071240_120339.jpg


よーくお写真をご覧ください。
ガラス作品はどれも割れてしまった後の残骸です。
この残骸に含まれたお話とは・・・。



ある朝、いつもよりも早く目が覚めたアクセリ先輩。
「あれ?目覚ましかけてないのにな・・。」とベッドの中でぼーっとすること数秒。

・・・。
ガッシャーン!


「!!!!!」


なんと、集めた作品を飾っていたガラスの壁掛け棚が壁から落下したのだそうです。
大切に大切にしていたガラスの作品も棚もろとも全て砕けてしまい、部屋の中はかなり危険な状態に。

ショックでしばらく動けなかったという先輩ですが、なんとか部屋を片付けて、オフィスには時間通りに出てきました。



私は自分自身のことに関しては、個人的な事情を仕事に持ち込むことを非常に嫌う性格です。それをよく知っている先輩は自分の「個人的な事情」であるガラスのことを私には一言も言わずに黙々と仕事を・・。

私が「何かおかしい」と気づいたのはお昼も近くなってからでした。
(気づくのが遅くて、自分が情けないです。悔。)


いつもに比べて明らかに元気がない先輩のことをチラチラ気にしていると、みどりさんが事情を教えてくれたのでした。(みどりさんは私みたいに硬いところが無いので、アクセリも話し易かったんですね。笑。)


壊れたのは、ただのガラスではありません。
彼が何よりも大切に、毎日目の届くところで愛でていたものです。


事情を知って、私も大いに落ち込みました。
私は何かを収集したことがないので、アクセリの心の痛みは想像することしかできません。でも、「自分の大切なものが目の前で壊れてしまったら・・」と想像するだけでも、やっぱりがっくりきました。


やっとのことで言葉をかけることができた時には、先輩はかなり吹っ切れた様子でした。

「形があるものは、いつか壊れるからね。」


絶対に言うほど簡単には割り切れないはずです。
何か元気が戻るようなことを言ってあげたかったのですが、保険のことやら何やらで忙しくしている先輩に簡単に「大変だったね。」とは言えず、「残念だね。」と一言かけるのが精一杯でした。



そして、数日後にこのケーキが登場したのです。
このケーキはそうしたバタバタと先輩の落ち込みがひと段落したことを皆に伝えるものだったのですね。

ケーキ購入の直接の理由は「保険がいくらかおりたから心配してくれた皆にご報告」ということらしいです。
そもそも市場価格が簡単に設定しにくいヴィンテージアイテムは、見る人が見れば、ただの「中古のガラス」。その価値と歴史的な意味を専門家の見解も交えた形で保険屋さんに証明しなければならかったんですって。


「嫌な戦いだった。」

と、先輩。


本当に、お疲れ様でした。



きっと、まだ心が痛む瞬間が折りに触れ訪れるでしょうが、美しいものを大切にする先輩の姿勢はそのまま保っていて欲しいと影ながら願っています。


先輩やハンナさんに影響されて「美しいものを毎日の暮らしに取り込む」ということには、私も敏感になりつつあります。でも、こういう苦悩も目の当たりにすると「美しいものに愛情を注ぐのも簡単なことではないな。」というのが正直な気持ちです。


まだまだ、先輩から、ハンナさんから、学ぶことがたくさんありそうです。
by mysuomi | 2010-08-02 23:59 | デザイン
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